ハヤえもん開発者 りょーた / アプリ開発で、ワクワクする世界を。
ハヤえもん開発者 りょーた / アプリ開発で、ワクワクする世界を。

ユーザーと共に14年作り続けたアプリ開発「ハヤえもん」の作り方

ーー まず、ハヤえもんとりょーたさんについて簡単に教えてください。

大学時代、人から過度に依存されてしまった経験をして人間不信になった僕は、人数の最も少ないゼミを必然的に選びました。それが偶然にも、パソコンを使って自由に研究してみようというゼミだったんです。

経済学部の所属だったので、周りは統計的な研究などをテーマに選んでいたのですが、こうした領域にあまり興味が持てなかった僕は、「え、これって”便利なアプリを作る”とかいうテーマでもいいんですかね?」と教授に尋ねました。

これが、僕にとってのアプリ開発の始まりでした。

それからWindows向けの小さなアプリを幾つか作ってみた後、2005年、ちょうど僕が大学を卒業する1年前から作り始めたのが「ハヤえもん」というアプリでした。 ハヤえもんは、「音楽を、もっと楽しく!」がコンセプトの音楽プレイヤーなんですね。音楽って、どれだけ大好きな曲でも何度も繰り返し聴き続けると飽きちゃうじゃないですか。あんなにも大好きな曲だったのに、いつの間にか聴き飽きてしまう。

そこに寂しさを感じた僕は、「何度聴いても飽きない音楽プレイヤー」を作ろうと考え、その実現方法として、「聴き手が自由にエフェクトを変えられる」という機能に力を注ぎました。

結果、たくさんの人に愛されるアプリに成長し、今となってはWindows版に加え、iOS版、Android版、macOS版まで存在する状況になりました。また、iOS版は日本語、英語を始めとする17ヶ国語、Android版も日本語と英語に対応しています。

ーー 最初のユーザーをどのように見つけましたか。

先ほどお話した通り、僕にとってのアプリ開発はもともと、ゼミの研究テーマだったので「ユーザーを見つける」という必要性はなかったんですね。ただ、せっかく便利なアプリを作ったのだから、もしかしたら誰か使ってくれるかもと思い、ウェブ上で公開していました。すると、検索から自分のウェブサイトに辿り着いてくれた方がアプリを試してくれて、メールで感想をくれたりするようになっていきました。人から感謝される、ということを数多く経験した結果、次第に僕の人間不信は和らいでいきました。

ーー どのようにハヤえもん開発に関わってくれるチームを見つけましたか。

ハヤえもんはiOS版以外はオープンソースで開発しているんですが、もともとWindows時代からソースを公開していたんですね。その特性上、開発に協力してくれる人というのはたまに現れたりはしていました。「こんな機能を実装しときましたよー」なんてメールをくださる方もいたりしました。ただ、そんな人が現れてはいなくなり、また現れてはいなくなりという状況がしばらく続いていたんですね。そんな状況が劇的に変わったキッカケが2つありました。

1つ目は、Twitterの登場です。Twitterで情報を発信して、ユーザーさんと日々コミュニケーションを取るようになってから、開発者とユーザーさんとの距離がすごく近くなりました。結果、すごく気軽に「ここの画面って、もっとこうなってたら分かりやすいんじゃないですか?」とか「こんな操作をしたら、おかしな挙動をしましたよ!」なんていう風に連絡をもらえるようになったんですよね。

2つ目は、自分自身もオープンソース的にさらけ出すようになったことですね。どんなキャラクターなのか、どんな状況なのか、どんなことを考えているのか、何をしているのか、といったことをひたすら発信するようにしてきました。 その流れで、アプリの更新履歴にも「開発後記」という欄を作り、自分のことをひたすら書いてきました。その結果、デザイン担当のうめちゃんを始めとする、いろんな人との出会いがありました。なので、チームを見つけたというよりは、自然発生的に集まったという感じかもしれませんね。ハヤえもんの開発に協力してくれている人は全員、有志で協力してくれているハヤえもんユーザーさんたちです。

ーー 最初の1万ダウンロードに至るまでの道のりを教えてください。

2013年11月にiOS版を公開したハヤえもんが1万ダウンロードに至ったのは、2014年5月のことですね。ハヤえもんは広告や宣伝に一切労力をかけず、良いプロダクトは必ず広まるという信念のもと、プロダクトを良くすることにひたすら時間をかけています。ダウンロード数的な話で言うと、「ハヤえもんを100万人に届けたい」を合言葉に、スマホ版の累計ダウンロード数で100万人という数字を目指しており、現在59万ダウンロードしていただけています。(2019年6月時点)

ただ、これはユーザーさんと一緒になって、ここまで増えたね!という達成感を感じたり喜んだりする要素として活用しているだけで、ダウンロード数というのに実質的な意味は無いと考えています。例えば、ダウンロード直後にアプリを削除するユーザーさんがいたとしても、ダウンロード数としてカウントされます。僕にとって一番大切なのは、月間アクティブユーザー数(一ヶ月の間に一度でも利用のあったユーザー数)で、これを伸ばそうと考えています。ちなみに、現在は4万人弱といったところですね。

ーー 現在に至るまでで辛かったことは何ですか?また、乗り越えるためにどんな工夫をしましたか。

会社員、個人アプリ開発、家事や育児にどう時間を割いていくかというバランスが一番難しかったですね。残業時間の多い会社に勤めていたので、終電で家に帰ってから徹夜でアプリ開発をするというような無茶な生活をしていました。家事や育児は嫁さんに任せきりになり、家庭内が険悪なムードになったりしました。何とかそれを打破しようと、個人アプリ開発での売上が月間20万円を超えたら、会社員を辞めて個人アプリ開発に専念する、という目標を定め、家事や育児については引き続き嫁さんに任せ続けました。その結果、目標を達成し、2018年5月からは個人アプリ開発専業になり、ようやく個人アプリ開発と、家事や育児がバランス良く行えるようになりつつあるところですね。

ーー 最初に開発したプロダクトは何でしたか。

大学時代、アプリ開発に熱狂的にハマった結果、疲れ目がひどくなった僕は、パソコンの画面をもっと暗くしたい!という思いを胸に、画面の明るさや色を自由に変えられるツールとして「如意スクリーン」というWindows向けのアプリを開発しました。その頃から、自分の使いたいツールを作るというのは一貫して変わってませんね。

ーー 個人開発を進める上で何かオススメのツールはありますか。

これは間違いなく、Twitterですね。一人ひとりのユーザーさんと会話することで、それまで見えてこなかった課題が見えてきますし、協力者が現れることもあります。コンシューマ向けのアプリを開発しているすべての開発者に、自信をもってTwitterをオススメします。

ーー 開発会議ユーザーへ一言いただけませんでしょうか。

個人アプリ開発というのは、パソコンと情熱さえあれば「自分が作りたいものを作れる」という、まさに夢のような活動です。実現方法が分からず、ひたすら時間がかかることもありますが、アプリ開発にかける情熱さえあれば大丈夫です。情熱を保つコツは、1つの機能ができた時の達成感を感じることと、ユーザーさんからの感謝の声に喜びを感じることです。ぜひ一緒にアプリ開発を楽しんでいきましょう。

取材の感想

りょーたさんは、ハヤえもんの開発にもう14年以上打ち込んでいるんですね。そこまで熱中できるものって、そうそう見つからないものではないでしょうか。ユーザーさんと共にアプリ開発をしていく姿勢は全個人開発者が見習わなきゃなと思ってしまいました!温かいエピソードをありがとうございました!

ハヤえもん
ハヤえもん

「音楽を、もっと楽しく」をコンセプトに開発している音楽再生アプリ